営業の専門用語設計

営業の専門用語は使わない?

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用語の役割を伝え、相手の仕事とつなぎ、資料で確かめる正式名を残す三つの要点。

読了目安 約8分 · 公開 · 更新

営業の専門用語は、必要な正式名まで消す必要はありません。不要な社内略語を外し、残す語は「役割・相手の仕事・正式名と条件」をつなげて伝えます。意味が不明なら担当者へ確認し、相手にどう聞こえたかを尋ねて説明を訂正します。

提案資料や画面に出る一語を、相手が後で同じ資料に戻れる形に整えます。説明全体の長さではなく、一つの用語の伝え方を扱います。

営業の専門用語を、残す・外す・確認に分ける

判断や照合に必要な用語は残す。不要な社内略語は外す。意味や条件が不明なら確認する。

まず、提案資料・見積書、デモ画面、社内メモ、契約・安全・運用資料から、説明なしに使っている語を拾います。そのうえで、今回の判断や、後の検索・社内共有・資料との照合に必要かを見ます。

判断 見ること
残す 機能名・プラン名・画面のメニュー名など、後でも同じ対象を探すために必要な語。正式表記を残し、役割を添える
外す 顧客の判断や照合に使わない社内の略称・自社だけの呼び方
確認する 営業側で意味・対象版・条件を確定できない語。推測で言い換えず、確認する人と項目を残す

候補が三つあっても、一度に全部を説明する必要はありません。今の判断に必要な一語から始め、ほかの語は必要になる時点と参照先を示します。未確認の扱いは商談で質問に答えられない時の持ち帰り方へ。

営業の専門用語を、役割・仕事・正式名でつなぐ

その語が何をするか、相手がすでに行う作業、資料上の正式名と参照先を結ぶ。

残す語は、次の三つをつなぎます。相手がすでに行っている作業が、説明の「足場」になります。これは説明を準備するための編集上の整理枠で、理解や成約を保証する理論ではありません。

三つの要素 伝える内容
役割 相手の仕事や今回の判断で、何をするものか
相手の仕事 すでに行っている申請、照合、引き継ぎなどの、どこに関係するか
正式名 資料どおりの名称、今回の意味、条件、戻る章や担当者

話す順番は固定しません。相手が正式名を先に求めたら、「監査ログです。ここでは、設定変更を後から確認する記録を指します」と正式名から役割へ戻っても構いません。

仕事との関係は、身近な物への比喩でなくても伝えられます。比喩を使う場合の対応と限界は営業の例え話を作る方法で扱います。

営業の専門用語を伝える例|監査ログ

架空の監査ログ例で記録する、設定変更の実行者・日時・変更対象。記録範囲や保存期間は別に確認する。

「監査ログ」を「履歴です」とだけ言い換えても、何の履歴か、誰が見られるかは決まりません。架空の業務サービスを使って、説明を組み直してみます。実在製品の仕様を示す例ではありません。

仮に、確認済みの仕様が「管理者が行った設定変更について、実行者と日時を記録し、権限のある利用者が一覧で確認できる」だとします。

要素 架空例の説明
役割 「設定が変わった時に、誰がいつ変更したかを後から確認するための記録です」
相手の仕事 「いま変更申請と作業報告を照合している場面で、サービス側の変更記録も確認できます」
正式名 「資料では監査ログと呼びます。記録する操作、閲覧権限、保存期間は、管理機能資料の対象版で確認します」

この説明だけでは、すべての操作の記録、改ざんできないこと、一定の保存期間を保証できません。 やさしい言葉に替えても、言える範囲と未確認を分けて渡します。

監査ログの一般的な意味を確かめる

NISTの公式用語集では、監査ログをシステムの活動を時系列に記録するものとして説明しています。一般的な意味を確かめる参考です。製品ごとの記録範囲、権限、保存期間、改ざんへの対策は、その製品の正式資料で別に確認します。

物語で読む|「履歴」と言い換えて終わらせない

編集室で、用語を見直す

編集室で、ミナトは資料にある「監査ログ」という語を、別の言葉に置き換えようとしていました。

ミナト

「監査ログ」は固いので、「あとから見られる履歴です」に変えようと思います。

カナエ

何の履歴で、相手のどの作業に使い、資料では何という名前か。その三つが戻れるようにしましょう。

「あとから見られる」も、誰が、どの期間を見られるかは別に確認が必要です。

ミナトは、置き換えた一文を消すのではなく、正式語へ戻る橋の一段として残しました。

ミナト

やさしい言葉に替えて終わるのでなく、何の履歴か、今の仕事のどこか、正式資料のどこへ戻るかまで一緒にします。

この場面では、顧客が理解した、安心した、採用したという結果を作っていません。営業側の説明を、訂正できる形に直したところまでです。

用語を直しても説明全体が伝わらない時に

一つの語を説明できても、次々に別の語が出てくると聞き手は追いにくくなります。用語の言い換えだけでなく、説明の進め方から学び直したい人には、藤沢晃治著『「分かりやすい説明」の技術 新装版』が候補です。講談社の紹介では、説明の基礎・応用・チェックポイントを扱っています。

本記事の「役割・相手の仕事・正式名」は編集室の整理です。まず一語だけ直したい時は、下の準備シートから試してください。

営業の専門用語が伝わったか確かめる

相手に何が変わると聞こえたか、現行の仕事との違いを尋ね、営業側の説明を訂正する。

相手が先にその語を使っても、今回の製品や仕事で同じ範囲を指すとは限りません。知識を試すのではなく、営業側の説明を訂正してもらう質問にします。

  • 「今回の資料ではこの範囲を指します。同じ部分と違う部分はありますか」
  • 「いまの説明で、どの作業が変わると聞こえましたか」
  • 「その語を社内へ持ち帰る時、何と区別する必要がありますか」

同じ語の復唱だけでは、同じ意味で受け取ったかは分かりません。できると聞こえた範囲、変わらない部分、まだ確かめたい条件を残します。

相手の知識量を年齢、役職、経験、話し方から決めません。説明の順序や媒体を本人の希望に合わせる方法は顧客タイプを決めつけず伝え方を調整する手順へ。

営業の専門用語に添える参照先と条件

正式語とともに、戻る資料・対象版・適用条件・定義や仕様を確認する人を残す。

正式名を伝えたら、後で同じ対象を確かめられるようにします。「詳しくは資料で」だけで終えず、戻る場所を具体的に示します。

残す情報 記入すること
参照先 資料名・章・画面名・問い合わせ窓口
版 対象プラン・改訂日・画面や仕様の版
条件 適用範囲・対象外・未確認・個別確認事項
確認する人 定義・仕様・契約判断を確認する部署や担当者

すべての語に長い注釈は要りません。ただし、価格・契約・安全・性能・保証・法令に関わる語は、日常語や例えだけで結論づけず、判断前に正式な条件を確認します。古い資料と現行条件も分けてください。

営業の専門用語を整理する1枚シート

次の商談で使う一語を選び、役割・相手の仕事・条件・参照先を一枚に記録する。

次の商談で実際に使う一語につき、一枚を作ります。用語集を完成させる前に、その語がどの判断に必要かを確かめます。

一用語の準備シート

正式表記・略称:
必要な理由:判断/検索/社内共有/照合

役割:何をするものか
相手の仕事:どの作業・対象に関係するか
正式名への戻し:資料では何と呼び、ここでは何を指すか

条件・未確認:対象版/範囲/例外
参照先・確認する人:資料名/章/画面/担当者

訂正質問:何が変わると聞こえたか
相手の訂正:
次に確認すること:

意味や参照先を確認できない時は、うまい言い換えを探し続けず、顧客向けの定義を保留して担当者へ戻します。

AIに案出しを頼む場合も、顧客情報や未公開仕様を未承認のサービスへ入力しません。出力は正式定義ではないため、対象版・条件・除外事項・参照先を人が照合します。

今日の一手: 次に使う提案資料を一枚開き、社内では説明なしに通る一語を丸で囲んでください。残す・外す・確認するを決め、残すなら役割、相手の仕事、正式名と参照先をこのシートに書きます。

説明項目全体を渡す時期で分けるなら営業説明を分かりやすくする3層へ。お断りなどの言葉の選び方は営業の言い方を組み替える方法で扱います。

書籍の購入先を確認する

よくある質問

営業では専門用語を一切使わない方がよいですか?

一律には決めません。相手の判断や後の検索、社内共有、正式資料との照合に不要な社内略語は外します。必要な正式語は、先に仕事上の役割と具体的な場面を示し、今回の意味、条件、参照先と一緒に渡します。

相手が専門用語を使ったら、説明を省いてもよいですか?

同じ言葉を知っていても、製品や組織によって対象範囲が異なる場合があります。知識量を試さず、『ここでは何を指していますか』『今回の仕事ではどこに関係しますか』と使用範囲を確かめ、資料上の定義と違えば分けて示します。

カタカナ語は日本語に言い換えれば分かりやすくなりますか?

言い換えだけでは、別の曖昧さが生まれることがあります。『最適化』を『良くする』に替えるだけでなく、何を、どの条件で、どう変えるのかを示します。正式語が必要なら消さず、役割と対象を添えて参照先へ戻します。

専門用語の意味は、商談のいつ説明しますか?

その語が最初に判断へ必要になった時です。資料の冒頭で用語集を読み上げるのではなく、役割を説明する場面で正式語を結びます。価格・契約・安全・性能を左右する語は、決定前に正式な条件と一緒に確認します。

『分かりましたか』以外に、理解を確かめる質問はありますか?

相手を試さず、営業側の説明を訂正してもらいます。『どの作業が変わると聞こえましたか』『この語を社内で説明するなら、何と区別しますか』『正式資料へ戻る時、どこを見ますか』と尋ね、違いと未確認を残します。

AIに専門用語の言い換えを作らせてもよいですか?

案出しに使う場合も、顧客情報や未公開仕様を未承認のサービスへ入力しません。正式定義、対象版、成立条件、除外事項、参照先を人が照合します。意味や条件を確認できない言い換えは、顧客向け説明として確定しません。

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