営業ヒアリングでは、12問を全部聞く必要はありません。まず「相談の背景」「現在の業務の流れ」「最後に課題が起きた場面」から2〜3問を選び、相手の答えを受けて次の一問を決めます。
質問例は目的と照らして選び、商談後はヒアリングシートに記録できます。
営業ヒアリングで使える質問例12選

今日の目的に必要な質問を選んでください。 1〜3は背景・現状、4〜7は場面・影響、8〜10は望む状態と優先順位、11〜12は判断条件です。
| 確認すること | そのまま使える質問例 | 聞く目的 |
|---|---|---|
| 1. 相談の背景 | 「今回、お話しいただくことになった背景を教えていただけますか」 | 相手が今日話そうと思った理由を本人の言葉で知る |
| 2. 今日の到達点 | 「今日の話が終わる時、何を判断できているとよいですか」 | 営業側だけで商談のゴールを決めない |
| 3. 現在の流れ | 「現在は、どなたが、どの順番で進めていますか」 | 実際の業務と役割を把握する |
| 4. 直近の場面 | 「最後にそれが起きたのは、どんな時でしたか」 | 抽象的な課題を観察できる出来事へ戻す |
| 5. 前後の動き | 「その直前と直後は、何をしていましたか」 | 手戻りや待ちが生まれる位置を確かめる |
| 6. 関わる人 | 「最初に対応し、最後に確認するのはどなたですか」 | 実行者、引き継ぐ人、影響を受ける人を分ける |
| 7. 影響 | 「そこで止まると、次に何が後ろへ動きますか」 | 時間・費用・別作業への影響を相手の範囲で知る |
| 8. 残したい点 | 「今の方法で、変えずに残したい部分はどこですか」 | 現行方法が守っている価値を提案から消さない |
| 9. 望む状態 | 「どの状態になれば、改善したと判断できますか」 | 営業側の成果指標を押し付けない |
| 10. 優先順位 | 「ほかの課題と比べると、今はどの順番ですか」 | 課題があることと、今進めることを分ける |
| 11. 判断条件 | 「進めるかどうかは、誰が、何を見て判断しますか」 | 関係者と判断材料を推測で埋めない |
| 12. 時期と資源 | 「進める場合、時期・人員・予算について、今共有できる範囲はありますか」 | 実行条件を聞き、答えにくい範囲は未確認に残す |
初回商談全体の進め方は、営業の初回商談で確認する5つのことで整理しています。
営業ヒアリングの最初は、3つの質問から選ぶ

背景・流れ・直近の場面のうち、まだ分からないことから聞きます。
| すでに分かっていること | 次に聞くこと |
|---|---|
| 背景がまだ共有されていない | 「今回、お話しいただくことになった背景を教えていただけますか」 |
| 相談の背景は共有済み | 「現在は、どなたが、どの順番で進めていますか」 |
| 業務の流れは資料で確認済み | 「最後にそれが起きたのは、どんな時でしたか」 |
| 相手が具体的な場面を話し始めた | その場面の前後など、まだ分からないことを一つ聞く |
資料が古い可能性があれば、「今もこの流れですか」と確認します。
営業ヒアリングの質問を2〜3問に絞る4つの基準

商談前に「誰が何を判断するための話か」を一行で書き、次の4点で質問を選びます。
- その人が答えられるか。 本人の経験や仕事でなければ、適切な担当者を確認する。
- 今聞けるか。 作業中・安全確認中・時間がない時は、区切りまで待つか今回は聞かない。
- 何の判断に使うか。 提案範囲、次回の目的、関係者など、答えを使う先を決める。
- すでに答えが出ていないか。 相手が話したことは聞き直さず、必要なら自分の理解を確認する。
2〜3問は準備を絞るための目安で、成果が出る最適な質問数ではありません。残りは候補として持ち、商談中に選び直します。
相手と場面から一問を選ぶ練習です。「今は聞かない」も選べます。
Three-minute tool
営業ヒアリングの次の一問を選ぶ
質問候補を増やす前に、「その人に聞く」「今聞ける」「まだ分からない方向」の三つを選びます。 結果は保存も送信もしません。
- 01その人に本人が答えられることか
- 02いま作業・安全・時間を邪魔しないか
- 03何を確かめる答えを何の判断に使うか
いまの候補
この一問も、答えることを前提にしません。断る・あとで答える・別の人へ確認する選択を残してください。
ヒアリングの答えを深掘りする6方向

「入力が増えると困る」と言われたら、別の項目へ進む前に、困った場面や入力前後の流れを確かめます。6方向すべてを聞くのではなく、判断に足りない方向を一つ選びます。
| 深掘りする方向 | 質問例 | 分かること | 聞かなくてよい時 |
|---|---|---|---|
| 1. 実際の場面 | 「最後にそれが起きた場面を教えていただけますか」 | 抽象的な課題が起きた状況 | すでに具体的な場面を話している |
| 2. 前後の流れ | 「その直前と直後は、何をしていましたか」 | 作業の順番、割り込み、戻り | 目の前で流れを観察できる |
| 3. 関わる人 | 「最初に対応し、最後に確認するのはどなたですか」 | 実行者、引き継ぐ人、影響を受ける人 | 本人が一人で完結すると確認できている |
| 4. 影響 | 「そこで止まると、次に何が後ろへ動きますか」 | 時間、手戻り、待つ人、別作業への影響 | 影響が判断に関係しない |
| 5. 守りたいこと | 「今の方法で、変えずに残したい部分はどこですか」 | 現在の方法が守っている価値 | 本人がすでに理由まで説明している |
| 6. 理解の確認 | 「私は○○と理解しました。違うところはありますか」 | 営業側の解釈と本人の意図のずれ | 提案条件や共有記録に使わない時。使う前には確認する |
会話例:一つの答えを受け取る
以下は、青葉設備へ同行したミナトと桜井の架空の場面を使った例です。人物の経験を営業成果の根拠にはしていません。
桜井
この確認、飛ばせる日ほど、あとで戻ることになるんです。
ミナト
一日に同じ確認は、何回くらい発生しますか。
頻度も必要な情報ですが、この返しでは「あとで戻る」場面が分かりません。ここでは「最後に戻ることになったのは、どんな時でしたか」と一問にとどまれます。何が問題かを営業側で決めず、答えを聞いてから自分の理解を返します。
営業ヒアリングの質問を止める4つの合図

話や作業を確かめるために、質問を止めることも必要です。答えたくない範囲は、それ以上求めません。
| 閉じる合図 | その場で行うこと | 避けること |
|---|---|---|
| 相手が「今」「ここ」「今日は」など、具体的な場面を示した | その言葉を短く返し、場面に留まる | 次のカテゴリへ移る |
| 相手が作業や資料で流れを示し始めた | 許可された範囲で観察し、あとで確認する | 質問のために作業を止める |
| 相手が営業側の言葉を訂正した | 訂正後の言葉をそのまま残し、理解を確認する | 自社用語に言い換えて確定する |
| 時間、安全、守秘、答えたくない範囲に触れた | 今回は聞かず、未確認と確認方法を残す | 聞き方を変えて同じ情報を求め続ける |
沈黙やしぐさだけで、相手の気持ちは決められません。作業や話題が一区切りついたら、営業側の理解を短く伝え、訂正してもらいます。まだ必要な一問だけを選び、残りは次回・別担当・資料確認・未確認へ分けます。
質問攻めを避ける営業ヒアリングの言い方

| したいこと | そのまま使える言い方 |
|---|---|
| 聞く許可を取る | 「提案で変わる範囲を確認したいので、一つだけ具体的な場面を伺ってもよいですか」 |
| 相手の言葉を返す | 「『あとで戻る』とおっしゃったところを、もう少し確認してもよいですか」 |
| 答え方を選んでもらう | 「口頭で話す、流れを見せる、別の方へ確認するうち、負担の少ない方法はありますか」 |
| 今回は聞かない | 「共有しにくい内容は伺いません。提案条件には未確認と記します」 |
質問の目的を説明したら、返事を待ちます。説明が長くなる時は、営業トークを短くする方法も参考にしてください。
BANTとSPINを営業ヒアリングで使い分ける

BANTは案件の判断条件、SPINは顧客の状況や問題を考えるための枠組みです。質問を順番に読み上げる台本にはしません。
| 枠組み | 整理すること | 使い方の注意 |
|---|---|---|
| BANT | 予算・判断権限・必要性・時期 | 案件管理上の未確認を整理する。相手が答えられない欄を推測で埋めない |
| SPIN | 状況・問題・影響・解決による価値 | 相手の状況を考える。自社製品が必要だと言わせる誘導にしない |
| 本記事の12問 | 実際の業務、守りたいこと、判断条件 | 今日の目的に必要な問いを選ぶ。すでに聞けたことは省く |
BANTの4項目は案件を評価する整理です。顧客が今判断したいことと、営業側が管理したい項目は必ずしも一致しません。
SPINの提供元Huthwaite Internationalも、4種類の質問を硬直した順番ではない枠組みと説明しています。この12問や「2〜3問」という数の効果を保証するものではありません。
質問の研究を営業へ当てはめる限界
Huangらの2017年の研究では、対人会話で追加質問と好意評価の関係が報告されています。一方、2019年の再分析は、そのうちスピードデート研究の分析と解釈に異論を示しています。営業成約や本音の取得、最適な質問数を裏づける研究としては扱いません。
営業ヒアリングシートは、まず5欄で残す

確認できた事実と未確認を分け、まずは次の5欄に残します。
| 欄 | 残すこと |
|---|---|
| 今日の目的 | 誰が何を判断するための話だったか |
| 相手の言葉 | 本人が実際に使った表現。自社用語へ置き換えない |
| 確認できた事実 | 本人の説明や資料で確かめたこと。営業側の解釈は別にする |
| まだ分からないこと | 誰に・どの方法で確認するか。今回は聞かない理由 |
| 次に聞く一問 | 質問文と、それを聞く目的 |
詳しく残す時のヒアリングシート
実務例・記入欄
【今日の目的】
このヒアリングのあと、誰が何を判断できる状態にするか:
【必ず確認する2〜3項目】
1.
2.
3.
【相手が実際に使った言葉】
言葉:
話した場面:
【その場で選んだ次の一問】
質問:
選んだ理由:
本人の回答:
【営業側の理解確認】
私は○○と理解した:
本人の訂正:
【まだ確認していないこと】
内容:
確認できる人・方法:
今回聞かない理由:
チームへ共有する記録の分け方は、商談メモの取り方へ進んでください。
商談前・中・後のヒアリングチェックリスト

- 商談前: 今日の目的を一行で決め、質問を2〜3問選ぶ。調べて分かることを先に確認する。
- 商談中: 相手の原文を残し、必要な方向を深掘りする。作業・時間・共有範囲に合わせて止める。
- 商談後: 事実・解釈・未確認を分け、次に聞く一問を決める。録音やAI要約を使う場合は、同意と保存・共有の条件も確認する。
営業ヒアリングは、質問数より次の一問を選ぶ

- 今日の目的に合う2〜3問を選ぶ。
- 相手の答えから、まだ分からない方向を一つ確かめる。
- 止める合図があれば質問をやめ、未確認として残す。
次の商談の質問表に、「この答えで何を判断するか」を一行添えてみてください。
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よくある質問
初回の営業ヒアリングで予算を聞いてもよいですか?
提案できる範囲を判断するために必要なら、聞く目的を伝え、共有できる範囲を尋ねます。予算が未定の場合や相手に権限がない場合は、決め方と確認できる時期を相談し、数字を無理に埋めません。
Your next note
ミナトの答えではなく、あなたの一件へ。
今日ノートへ書くのは、次の一行だけでも構いません。持ち帰る候補を端末内へ残し、明日の商談で試すかどうかは後から選べます。
明日の一件で、ひとつ試してみたい問いを選んでください。
マイ商談ノート
今日、残しておく候補
気になった項目を、この端末のブラウザへ保存できます。ログインや送信はありません。
まだ保存していません。
自分の場面を「事実・解釈・未確認」の三欄へ書き直すなら、五冊目の読者ケースを使う。 送信せず、この端末だけで使えます。

