提案書の構成

提案書はどう構成する?|判断から読める3層の作り方

明るい編集室でミナトとカナエが、判断入口・判断材料・詳細参照の三つの奥行きを持つ無文字の提案閲覧具を確認している場面
作った順に情報を積まず、今回の判断から材料と詳細へ進める一つの正本に組み替える

読了目安 約8分 · 公開 · 更新

営業提案書は、作った順ではなく、相手が判断する順に構成します。最初に今回決めたいことと提案範囲を置き、中盤で選択肢、費用、効果の条件、リスク、役割を根拠と対応させ、後半に仕様・体制・補足の参照先を置きます。

提案書は、書き手の作成順から相手の判断順へ戻す

自社紹介、機能、事例、価格、体制の順に作ると、資料もその順に積みやすくなります。しかし相手が知りたいのは、営業が何から作ったかではなく、「今回は何を比べ、何を決めるのか」です。

最初に一文で、提案書の仕事を固定します。

この提案書は、誰が、どの選択肢について、何を判断するためのものか。

たとえば「担当者が社内研修の予約業務を見直すため、現状維持と変更案の対象範囲・負担・未確認を比べる資料」と置きます。会社名、製品名、費用、結果はすべて説明用の架空設定です。

誰がどの判断に関わるかをまだ確認できていない場合は、役職から推測しません。「決裁者と担当者の違い」で今回の意思決定経路を確かめてから、読み手を仮置きします。

機能から並べたミナトが、判断から組み直す

編集室で、ミナトは架空の社内研修予約フローを見直す提案書を机に広げていました。自社紹介、機能一覧、導入事例、価格表、支援体制。作成した順に、どの資料も必要に見えます。

ミナト

先に全部読んでもらえば、最後の提案に納得してもらえると思います。削ると説明不足になりそうです。

カナエ

削る前に、読む道を変えましょう。最初に、今回は何を判断してほしいのかを置けますか。

その判断に必要な材料を次へ、必要になった時に確かめる詳細を後ろへ。全部を同じ深さへ積まなくて大丈夫です。

二人は、各ページの上に「読む人」「判断する問い」「答え」「根拠の場所」を一行ずつ仮置きしました。書けないページはすぐ削らず、詳細へ移す、別添にする、今回の提案から外す、の三つに分けます。

提案書を「判断入口・判断材料・詳細参照」の3層に分ける

三層はページ数の指定ではありません。一枚の文書でも、複数ファイルでも、読む深さを分ける役割です。

層 読者が確かめること 主に置く内容 置かないもの
判断入口 今回、何を比べて何を決めるか 確認済みの現状、提案範囲、主な案、費用・効果の前提、重要なリスク、次の判断 会社沿革や全機能から始まる説明
判断材料 なぜその案か、条件差は何か 現状との対応、選択肢比較、数字の条件、事例との差、負担、体制、残る仕事 根拠とつながらない主張の列挙
詳細参照 必要時に何を検証するか 仕様、用語、工程、役割分担、補足データ、版・確認日、正式文書の所在 入口で示すべき重大な制約の隠し場所

詳細へ移すことと、隠すことは違います。費用を変える条件、対象外、導入後も残る作業、安全・契約上の重要事項など、今回の判断を変えうる情報は入口か対応する判断材料の近くに残します。

1枚目は、結論だけでなく「判断の入口」を作る

表紙を除く最初の内容面には、次の六つを短く置きます。すべてを埋めるのではなく、未確認なら未確認と示します。

入口の欄 書くこと 架空の研修予約例
今回の判断 誰が何を選ぶか 現状維持と変更案の確認範囲を決める
確認済みの現状 相手が訂正した事実 予約窓口と利用部門の受け渡しが分かれている
提案範囲 今回変える/変えない仕事 受付の一覧化まで。承認規程は変えない
比較する案 現状維持を含む選択肢 現状維持、限定変更、対象拡大は保留
条件と残り 費用、負担、リスク、未確認 権限と繁忙期の運用は未確認
次の判断 何をいつ誰が返すか 限定範囲を確認するか、ここで見送るか

メールで入口だけを伝える時は「判断依頼メールの例文」を使えます。

読み手別に資料を変えず、問いと参照先を変える

担当者、決裁側、実際に使う人が知りたいことは同じとは限りません。だからといって、相手ごとに都合のよい結論や数字に作り替えると、一つの提案の正本ではなくなります。

読み手の例 主な問い 入口から進む先
連絡・調整担当 今回の提案範囲と不足は何か 現状対応、未確認、次の確認者
判断に関わる人・会議 何を選び、費用・リスク・見送り条件は何か 選択肢比較、条件、責任、正式文書
利用・運用に関わる人 自分の仕事の何が変わり、何が残るか 業務場面、負担、例外、支援体制

これは役職ごとの固定処方ではありません。今回の問いを本人や担当者に確認し、同じ本文のどこを見れば答えられるかを案内します。共有範囲や機密区分が異なる時は社内ルールを優先し、版を分けた理由と省いた範囲を記録します。

主張・根拠・未確認を一組にする

「効率化できます」だけで終えず、何を確かめたのかを書きます。研修予約の例なら、次のように並べます。

欄 記入例
提案 研修の予約受付を一覧にまとめる
根拠 デモでは一覧表示を確認した。現場ではまだ試していない
残る仕事 承認と例外対応は今の担当者が行う
次の確認 予約担当者と繁忙期の一日分を試し、照合の手間が減るかを見る

一つの数字に比較対象・期間・母数・条件を添える方法は「営業の数字の見せ方」、一事例の前後と今回との差を話す順は「導入事例の話し方」へ分けます。提案書の中で数字や事例の根拠を作り直しません。

盛り込みすぎた時は「残す・詳細へ・外す」で決める

情報を減らす目的は、短く見せることではありません。各ページについて、次の順に確かめます。

  1. なくなると、今回の結論・条件・リスクの意味が変わるか。変わるなら近くに残す。
  2. 判断後または質問時に検証できればよいか。よいなら詳細参照へ移す。
  3. 今回の判断に何を足すか説明できるか。できなければ別添または削除を検討する。
  4. 同じ主張を弱い例や似た機能で水増ししていないか。件数ではなく最も対応する根拠を残す。

選択肢そのものが多く、比較軸を決められない場合は「選択過負荷とは」で、選択肢の数、属性、時間、好みの確認へ戻ります。三つに減らせば必ず選べる、という正解にはしません。

提案書を渡す時に、読む順・正本・戻り先を伝える

提案書だけを送る場合も、商談で説明する場合も、次の四点を短く添えます。

  • 今回の判断と、最初に見る場所
  • 詳細が必要な問いと、その参照先
  • 未確認の項目と、確認する人・方法
  • 質問先、次に連絡してよいか、資料の版・日付

「資料だけください」への最初の返し方、送る許可と追う許可の分離は「資料だけくださいへの返し方」の範囲です。稟議が提出後に差し戻された場合は「稟議が通らない時の営業支援」で、実際に戻った問いと不足材料へ進みます。

提案書構成の点検シート

手元の提案書を、次の表で一度だけ逆引きします。

ページ・資料 読む人 判断する問い 答え 根拠・条件 置き場所
入口/材料/詳細/外す
入口/材料/詳細/外す
入口/材料/詳細/外す

同じ答えが複数ページで違う表現になっていたら、正本を一つ決めます。更新時は版と確認日を変え、古い価格・仕様・体制が現行に見えないようにします。正式な見積、契約、仕様、安全・法務判断は、それぞれの責任者と正本を優先します。

今日の一手

次の提案書から、最初の一ページだけ直そうとせず、各ページの上に「誰が、何を判断するために読むか」を一行で書いてください。書けないページは削除を急がず、詳細へ移す、別添にする、今回から外す、のどれかを決めます。

作った順に積まれた資料が、今回の判断から必要な根拠へ進める一つの正本へ変わり始めます。

よくある質問

提案書の1枚目には何を書けばよいですか?

今回決めたいこと、相手から確認した現状、提案する範囲、主な選択肢、費用と効果の前提、重要なリスク・残る仕事、次に求める判断を短く置きます。項目を埋めるために未確認を断定せず、詳細の参照先も示します。表紙を別に付ける場合も、最初に内容を読む面で同じ入口を作ります。

営業提案書は何ページが適切ですか?

固定の正解はありません。今回の判断に必要な材料が対応し、詳細を必要時に参照できる長さで決めます。各ページに誰が何を判断するために読むかを書けない場合は、補足へ移すか外す候補です。ページを減らすために、費用、制約、リスク、残る仕事を隠しません。

提案書の価格は最初と最後のどちらに置きますか?

価格が今回の判断条件なら入口で金額または価格帯と対象範囲を示し、判断材料の層で内訳、変動条件、対象外を対応させます。最後まで伏せることも、金額だけを先に置くことも避けます。正式な金額と条件は、承認済みの見積や契約文書を正本にします。

会社紹介や機能一覧は提案書から削るべきですか?

今回の判断に必要なら残します。会社の体制や実績を確認する問いがある場合は、短い回答を判断材料へ置き、沿革や全機能は詳細参照へ分けます。何を確かめる情報か言えず、なくても結論と条件が変わらない場合は、別添または削除を検討します。

担当者、決裁側、利用部門ごとに提案書を分けるべきですか?

同じ提案について、結論、数字、リスク、対象範囲を読み手ごとに変えません。一つの正本に読み手別の問いと参照先を置き、必要なら入口だけを案内します。共有範囲や機密区分が異なる場合は、社内ルールに従って版を分け、何を省いた版か記録します。

提案書だけを送り、口頭説明をしなくてもよいですか?

相手が資料だけでの確認を望み、判断の問い、送付範囲、質問先、再連絡の可否が決まっていれば送れます。送付文には、何をどの順で見るか、未確認は何かを書きます。説明の予定を勝手に作らず、資料だけで契約・安全性・本番動作が確定したように扱いません。

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