営業の企業リサーチは、事業・業務、参加者の役割、自社との接点を確認し、本人が訂正できる質問を作る作業です。公開情報から今回の課題を確定せず、事実・仮説・別の説明・未確認を分けます。
三つのレーンを、元の資料と期間まで確かめる

今回の調査目的と時間上限を先に置き、三点を一巡します。
| 見る点 | 確認すること | 本人へ聞くまで分からないこと |
|---|---|---|
| 事業・業務 | 主な事業、関連業務、公式に発表された変化 | 現場の困りごと、評価、優先順位 |
| 参加者の役割 | 公開された部署・役職、案内の参加目的 | 今回の権限、関心、賛否 |
| 自社との接点 | 問い合わせ、過去商談、合意、停止条件 | 現在も同じ要望か、再検討の意思 |
情報源も、確認できる範囲を分けます。
| 情報源 | 使い方 |
|---|---|
| 公式サイト・発表 | 事業や変更の原文、公開日、現在の有効性を確認 |
| IR・公開資料 | 対象期間付きで全社方針や実績を読む |
| 採用・仕事用プロフィール | 募集業務や担当領域を確認。人手不足・困窮を断定しない |
| 報道・業界記事 | 元の発表や別の見方を探す入口にする |
| CRM・引き継ぎ | 閲覧・利用権限と記録日時を確認して接点を読む |
発表が見つからない時は「変化なし」でなく「公式発表は確認できなかった」です。規制・契約・重要度に応じて必要な確認を加えます。
八欄カードで、仮説を訂正できる質問へ変える

①確認した事実 ②出典 ③対象期間 ④確認日 ⑤仮説 ⑥別の説明 ⑦未確認 ⑧中立な質問を一枚にします。出典には発表主体・資料名・URLか保存先を残し、発表日と自分の確認日を混ぜません。
書き方の架空例です。「物流拠点を4月に開設したと会社が発表」は元資料で確かめる事実、「引き継ぎに困っている」は仮説です。別案は「設備更新だけで手順は変わっていない」、未確認は「今回の参加者に関係する業務」。
新しい拠点の発表を拝見しました。開設後、皆様のお仕事で変わった部分と、変わらず続けている部分はありますか。
「引き継ぎが大変ですよね」と誘導せず、変化なし・今回と無関係という答えも受け取ります。より新しい資料、同じ資料の維持・延期・対象外、別部門・別期間、異なる過去要望や停止条件も見ます。確証バイアスの点検は、相手を診断するために使いません。
架空の商談記録で確認する:知識を披露する準備になっていないか
下調べに二時間かけた商談と、短く切り上げた商談。ノートを見比べて、ミナトは決まりの悪い事実に気づいた。長く調べた方は十ページもあるのに、商談記録の大半が自分の説明で埋まっていた。
ミナト
調べた分だけ、話したくなっていました。今度は、知っていることの一覧ではなく、相手が訂正できる質問を一つ持っていきます。
四条件がそろったら止め、本人の返答で更新する

- 三レーンを一巡した。
- 一つ以上の事実に出典・対象期間・確認日を付けた。
- 仮説・別の説明・未確認を分けた。
- 本人が訂正できる質問を一つ作った。
全案件共通の時間は決めません。追加調査は理由と新しい上限を置き、情報不足を業界一般論で埋めません。必要なら「公開情報では確認できなかったため、現在の業務を教えてください」と尋ねます。
担当者は仕事用に公開した今回必要な役割だけを見ます。私生活、家族、思想、健康等を人物評価や提案へ使いません。AIは検索語・整理の補助にし、元ページへ戻れない要約は未確認。機密・個人情報・権限外の記録は入力せず社内規程を優先します。
商談後は元資料の事実を消さず、「本人が当日説明したこと」を日付付きで追記し、どの返答で仮説が変わったかを残します。準備全体と質問の順番は別に設計します。まず公式情報を一つ、八欄へ移してください。
よくある質問
営業の企業リサーチには何分かければよいですか?
全案件に共通する時間は決められません。重要度、規制、契約、商談目的に応じて上限を先に置きます。事業・業務、参加者の役割、接点履歴を一巡し、少なくとも一つの事実について出典・対象期間・別の説明・未確認・中立質問が書けたら、いったん止めます。追加調査には理由と新しい上限を付けます。
営業の企業研究では、どの情報源を先に見ますか?
まず会社公式サイト、公式発表、公開資料など、その組織自身が示した一次情報を確認します。報道や業界記事は手掛かりとして使い、重要な内容は元の発表へ戻ります。自社との接点は、閲覧・利用権限のあるCRMや引き継ぎ記録で確認します。出典のない要約だけを事実欄へ入れません。
IR資料や採用ページから、相手の課題を推測してよいですか?
資料に書かれた方針、募集職種、対象期間は確認できますが、今回の担当者が困っていることまでは確定できません。「採用強化が公表されている」は事実、「人手不足が今回の課題」は仮説として分け、別の説明と本人への確認質問を残します。
商談相手のSNSはどこまで見てよいですか?
会社公式の発信や、本人が仕事用に公開した登壇・記事のうち、今回の役割に必要な範囲に絞ります。公開されていることだけで営業利用の必要性までは決まりません。私生活の投稿、家族、思想、健康などを人物評価や提案へ使わず、迷う情報は持ち込みません。
AIを使って企業リサーチをしてもよいですか?
検索語の候補、公開情報の整理、未確認事項の洗い出しには使えます。ただしAIの要約を出典にせず、元ページ、資料の対象期間、発表日、確認日へ戻ります。機密情報・個人情報・権限外のCRM記録は入力せず、会社の利用規程を優先します。
企業の公開情報が少ない場合は、どう準備しますか?
情報がない部分を業界一般論で埋めません。会社名、事業、参加者、今回の接点、過去の合意など確認できた最低限と、不明を分けます。「公開情報では確認できなかったため、現在の業務を教えてください」と、知らないことを隠さず本人へ尋ねます。
Your next note
ミナトの答えではなく、あなたの一件へ。
今日ノートへ書くのは、次の一行だけでも構いません。持ち帰る候補を端末内へ残し、明日の商談で試すかどうかは後から選べます。
明日の一件で、ひとつ試してみたい問いを選んでください。
マイ商談ノート
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