営業のトライアル・試験導入提案

営業のトライアル提案書はどう作る?|成功・中止条件のテンプレート

限定した試験を計画・記録し、次の設計・条件変更・保留・中止を判断する

読了目安 約12分 · 公開 · 更新

営業トライアルの提案書は、終了後に決めること、試す範囲、測り方、成功・中止条件、記録する人を開始前にそろえます。成果に加えて負担と未解決点も残し、次の設計・条件変更・保留・中止を選べる計画にします。試用開始や目標達成だけで、本契約や全社展開まで承認されたとは扱いません。

営業トライアル提案書のテンプレート|開始前の9欄

一枚の計画書で、目的と範囲、測定と条件、担当と終了後の扱いを整理する

まずは次の欄を下書きに使ってください。分からない項目には「未確認」と書き、確認する人と日を決めます。

開始前の計画書

トライアル計画書

1. 終了後に決めること
□ 次の設計へ進む □ 条件変更 □ 保留 □ 中止

2. 今回確認する不確実性
仮説:
この仮説が判断に必要な理由:

3. 現状値と測定方法
指標/現状値/単位/期間/データ源/記録者:

4. 対象と除外範囲
拠点/利用者/業務/データ/時間帯/例外:

5. 成功条件
成果/品質/利用条件/現場負担/次の判断:

6. 中止・一時停止条件
条件/連絡先/停止権限/再開権限:

7. 未解決点の残し方
未測定・対象外・件数不足・条件変更の記録先:

8. 評価
中間確認日/最終評価日/記録者/判定者/参加者:

9. 終了後
データ/アカウント/元の業務/成果物/問い合わせ先:

ROI説明で決めた費用・範囲・期間の上限も引き継ぎます。上限を広げる場合は別の承認として残し、正式な提案・契約・審査書式へ移す前に担当部署と照合してください。

営業トライアルの評価指標|成果・品質・利用条件・負担・未解決

成果、品質、利用条件、現場負担、未解決点を独立した五つの視点で見る

ログイン数だけでは、業務が改善したか分かりません。判断に必要な指標を、次の5つの視点から選びます。すべてを大量に測るためのリストではありません。

視点 記録すること
成果 対象業務の時間、件数、待ち時間など
品質・安全 完了、誤り、再作業、重大事象。速さとの両立を見る
利用条件 誰が、どの業務で、どの支援があれば使えたか
現場負担 準備、二重入力、質問、修正に増えた時間
未解決点 未測定、対象外、件数不足、結果の混在など

負担は利用者・現場管理者・顧客の情シス・営業やCSに分けます。営業が無償で代行した時間も記録し、本番で同じ支援を続けられるか確かめます。観察していない条件は「問題なし」に置き換えず、何が分からないかと、そのまま進む影響を残してください。

営業トライアルの測定方法|現状値と比較条件をそろえる

開始前と試験中で、同じ業務・単位・起点と終点・データ源を使って比較する

現状値は、試験中と対象・単位・起点と終点・データ源をそろえて測ります。簡単な仕事だけ選んだり、後処理を測定外にしたりすると、改善前と比べられません。

開始前に決めること 記入例・確認点
対象 業務、拠点、利用者、時間帯、含む例外
単位 1件、1日、1人など。件数の変化も残す
起点・終点 どの操作から、後処理や修正のどこまで測るか
データ源 ログ、台帳、観察など。自己申告と区別する
観察期間 通常日と例外、業務の周期を含められるか
記録者・判定者 誰が記録し、誰が結論を承認するか

開始前に測れない値は、推定で埋めず「現状値未測定」とします。試験中に現状側も測るか、その指標では前後比較をしないかを判定者と決めます。対象や手順、支援を途中で変えた場合は、変更前後の結果を分けてください。

営業トライアルの成功条件|目標・成立条件・次の判断

指標の目標に、成立条件と負担上限を組み合わせ、満たした時の次の判断まで決める

成功条件は、目標値・成立した条件・品質と負担の許容範囲・次の判断を一組にします。支援を増やして数値だけを達成しても、当初の条件が成立したことにはなりません。

次は説明用の架空例です。9分や30分は推奨基準ではありません。自分の業務では、現状と必要な品質から合意値を決めてください。

欄 記入例
仮説 記録品質を落とさず、後処理時間を減らせる
現状値 中央値12分、完了19/20件(95%)
目標 同じ測り方で中央値9分以下、完了率95%以上
成立条件 標準説明後に本人が利用。個別代行を含めない
負担上限 準備・修正・質問が1人1日30分を超えない
次の判断 未解決点を確認する次の段階を設計する

20件も説明用の数です。必要件数と抽出条件は別途設計し、中央値に加えて件数・ばらつき・例外を残します。重大な一件を平均で薄めてよいかも、開始前に確かめてください。目標達成後も、未観察の業務や他拠点への展開は別の判断です。

営業トライアルの中止条件|止める人と戻し方を決める

停止条件、連絡先と停止・再開権限、元の業務へ戻す方法を開始前に決める

止める条件は成功条件と同時に決めます。誰が操作を止め、誰へ連絡し、誰が再開を承認するかまで書いてください。

判断 条件の例 行動と記録
一時停止 重大な安全・品質上の事象、権限外データ、業務継続への影響 対象操作を止めて責任者へ連絡。影響・暫定対応・再開権限を残す
設計変更 測定不能、対象の偏り、必要な前提が成立しない 変更を承認し、変更前後の結果と再測定範囲を分ける
保留・終了 負担上限超過、必要件数が得られない、実現性条件を満たさない 結果と未解決点をまとめ、元の業務・データ・アカウントの扱いを確認

安全・セキュリティ・法令・契約に関わる条件は、現場責任者、情シス、法務などの担当部署と確認します。セキュリティ説明の条件と証跡も参照してください。すでに使った費用と今後の継続判断を分ける考え方は、サンクコストで補えます。

営業トライアルの評価シート|日次・変更・最終判断の3書式

日々の結果、途中の条件変更、最後の判断を三つの独立した記録へ残す

開始前の計画書に加えて、実施中と終了時は次の3書式を使います。利用者本人の言葉と、営業や推進者の解釈を別の欄へ残してください。

日次・事象記録

日次・事象記録

日時/業務条件/対象件数/利用者の役割:
行った操作・支援:

成果/品質/利用条件:
負担の時間:本人/管理者/情シス/営業・CS
例外・使えなかった条件/一時停止・問い合わせ:

利用者本人の言葉:
営業・推進者の解釈:
証拠の保存先/個人情報・機密情報の扱い:

ログに個人情報を含める場合は、個人情報保護委員会の通則編を確認し、利用目的を具体的にします。取得項目、閲覧者、保存・削除、第三者提供、人事評価への利用も開始前に整理します。必要な通知・公表・同意等は取得方法や情報の種類によって異なるため、個人情報保護担当者や法務に確認してください。現場の利用者も、目的・記録内容・停止方法を確認できる状態にします。

変更履歴

条件の変更記録

変更日/変更前と変更後/理由/承認者:

影響する指標・対象・比較可能性:
変更前の結果を混ぜない方法:

追加費用・現場負担/評価日の変更:

最終判断メモ

最終判断の記録

今回決めること:
確認できたこと/条件付きで確認できたこと/確認できなかったこと:

中止条件・現場負担の発生/開始後に変えた条件:

判定:□ 次の設計 □ 条件変更 □ 保留 □ 中止
根拠/反対・保留意見/残る未解決点と承認者:

次の行動/担当者/期限:
全社展開には別途必要な判断:

予定している試用を一件選び、成功・停止・負担・未解決を一行ずつ書くところから始めてください。結論を急ぐ前に、誰がどの空欄を確かめるかが見えれば、提案書を相手と相談できます。

青葉設備の会議で、成功報告を判断記録へ変えた場面を読む

青葉設備本社の会議室で、限定導入前の引き継ぎ会議が開かれた。月曜から一つのサービス拠点で試すため、小暮が作った評価案を、フィールドサービス部の桜井、ミナト、リードクラフトのCSマネージャーである瀬戸 麻衣が確認していた。

評価案には、ログインした人数、入力した件数、アンケートの満足度が並んでいた。数値は測れそうだったが、どれも導入へ進む理由にしやすい項目だった。

小暮

利用率と満足度が基準を超えれば、試験は成功と整理できます。

役員会にも、進める根拠を示せます。

瀬戸は成功条件を消さず、その右側に空の列を三つ足した。

瀬戸

この数字を全部満たした時、何が分かったと言えますか。

現場の負担が増えた場合と、分からないまま残った条件は、どこに記録しますか。

ミナト

成功指標だけでは、足りないということですか。

瀬戸

成功条件は必要です。でも、導入後を引き継ぐ側には、できたことだけでは足りません。

誰の支援でできたのか、例外で止まったのか、毎日何分増えたのかも引き継ぎたいです。

桜井は、用意された入力例と、現場で実際に出る記録が同じではないと話した。

桜井

練習用の一件なら入力できます。問題は、予定がずれた日や、記録が揃っていない時です。

使えた件数だけ数えるなら、使えなかった仕事が表から消えます。

小暮が急いで残したかったのは、田嶋へ約束した限定範囲で、次の判断へ進める材料だった。ただ、「成功した」と説明できる数字を先に選ぶほど、現場で成立しない条件が評価の外へ押し出されていた。

ミナトは、顧客名、金額、業務データを持ち出さず、評価案の構造だけを明日の商談ノート編集室へ持ち帰った。木目の長机には、「トライアル成功報告」と書かれた見出しが残っていた。

ソウタは、その見出しを「トライアル判断記録」に変えた。

ミナト

始める前から中止や未解決を書くと、提案に自信がないように見えませんか。

ソウタ

違う結果が出ても結論が変わらないなら、測る意味がない。

何が出たら進めず、何が分からなければ保留するかまで書こう。

ミナト

成功条件を満たしても、未解決点が残れば、全社導入と判断するには、追加の確認が要る。

ソウタ

そう。

成功条件は営業のゴールじゃない。

次の判断へ進める情報が揃ったかを見る条件だ。

「確証バイアス」という言葉を顧客に貼る必要はない。成功と読める数字だけを集めないよう、異なる結果を誰が、どの欄に残せるかを設計すればよい。

青葉設備の会議室へ戻ると、評価案は「成功指標一覧」から「判断記録」へ変わっていた。数値は小暮だけで決めず、桜井が現場で記録できる単位と、瀬戸が引き継ぎ後も支援できる範囲を照合した。

欄 合意した書き方 判定に使わないもの
目的 一拠点の対象業務で、成果・品質・負担を同じ期間に観察する 開始した事実、営業の操作デモ
成功条件 現状値と同じ方法で成果を測り、品質と負担の条件を併記する ログイン数、入力できた件数だけ
一時停止 安全・品質・業務継続に影響する条件を現場責任者が止められる 営業の訪問予定や報告日
現場負担 利用者、管理者、情シス、営業・CSの追加作業を分ける 無償支援だから費用外とすること
未解決点 未測定、対象外、件数不足、条件変更を残す 問題が報告されなかったこと
最終判断 小暮・桜井・瀬戸・ミナトが根拠を持ち寄り、決裁者へ渡す 営業または推進者だけの成功宣言

小暮

進める数字だけでなく、止める条件と分からなかったことも、同じ報告に入れます。

桜井

現場で記録できない項目は、始める前に直します。

使えなかった仕事も、件数から外さず理由を残します。

瀬戸

契約後も続けられない支援で数字を作らないよう、私たちの作業時間も記録します。

月曜の朝、青葉設備の一つのサービス拠点でトライアルが始まった。計画書には成功という一列だけでなく、停止、負担、未解決の空欄が残っていた。その空欄を埋めるのは、営業の期待ではなく、現場で起きたことだった。

無料トライアル・PoCの呼び方と、設計の参考資料

デモは画面や操作、無料トライアルは利用者による操作・適合性、PoCは重要な仮説や実現性、パイロットは限定範囲での実運用に近い確認を指すことがあります。呼び方は企業や製品で異なるため、名前より判断目的と試す範囲をそろえます。相談段階の範囲は、無料相談と有料対応の境界で確認できます。

デジタル庁の2022年標準ガイドライン研修資料22ページは、政府情報システムの実証実験型を説明しています。最低限の機能で効果を測り、結果から企画や要件を見直す考え方を参照しました。

OECDのApplying Evaluation Criteria Thoughtfullyは開発協力から生まれた評価基準を扱い、目的と文脈に合わせることや、効果・効率などを複数の視点で見ることを説明しています。この記事の5層が検証されたことを示す資料ではありません。

英国政府のDigital, Data and Technology Playbookは公共調達の資料です。規模・複雑さ・不確実性に応じて早期に試験を設計し、結果によって進路を変える考え方を参照しました。これらを民間営業の必須基準や、成果を保証する手順として扱ってはいません。

よくある質問

無料トライアル、PoC、パイロットの違いは何ですか?

名称は企業やサービスで異なります。一般に、無料トライアルは操作や適合性の確認、PoCは重要な仮説や技術的実現性の確認、パイロットは限定範囲で実運用に近い確認を指すことがあります。名前ではなく、何を決めるために何を測るかを提案書に明記してください。

トライアル期間は何日が適切ですか?

すべての案件に共通する日数はありません。通常時と例外時を観察でき、学習直後の一時的な変化だけで判定せずに済む期間を、業務周期と件数から決めます。期間を延ばす条件、延長回数、最終判断日も開始前に決めます。

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ミナトの答えではなく、あなたの一件へ。

今日ノートへ書くのは、次の一行だけでも構いません。持ち帰る候補を端末内へ残し、明日の商談で試すかどうかは後から選べます。

明日の一件で、ひとつ試してみたい問いを選んでください。

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